Soler開発のきっかけ

個人事業主としてビジネスを始めた当初、私は会計管理の煩雑さに悩まされていました。
特に困ったのは、簿記の知識がほとんどなかったことです。
「売上」「収入」「所得」「控除」――こうした基本的な言葉の意味さえ曖昧で、既存の会計ソフトをどう使えばいいのかも分からず、ただただ混乱していた時期もありました。

さらに、当時の私は年商が200万円にも満たず、月額1,000円の会計ソフトの料金すら重く感じていました。
使いこなせるかどうかも分からないソフトにお金を払うことが、不安で仕方なかったのです。

加えて、個人事業主の会計業務は単なる記帳だけでは済みません。
たとえば、来年の所得税や住民税がどれくらいになりそうか、今年どこまで経費を使えるか――そんな見通しを立てながら日々の判断を迫られます。
しかし、そうしたニーズに応えてくれる会計ソフトは、なかなか見つかりませんでした。

同じように悩んでいる人も少なくありません。
たとえば、農業を始めた友人は、農業簿記に対応した無料の会計ソフトが見つからず、とても苦労していました。
この経験を通じて、私のように「会計の壁」に直面している個人事業主は決して少なくないと実感しました。

そうした背景から、私はオープンソースのクラウド会計ソフト「Soler」の開発に踏み出しました。
理由は大きく2つあります。ひとつは、もし私に何かあった場合でも、オープンソースであれば他のエンジニアが開発やサポートを引き継げるということ。
もうひとつは、私ひとりでは対応が難しい変化にも、もしコミュニティが加わってくれれば、一緒に柔軟に乗り越えていけるという可能性があるからです。

「Soler」は、個人事業主の会計業務をシンプルかつ効率的にし、本業に集中できる環境を整えることを目指しています。
特に、一人で事業を切り盛りする「一人親方」のような方にとって、心強い味方になれるはずです。

なお、このソフトは GNU Affero General Public License(AGPL)のもとで公開しており、商用利用も可能です。
ただし、その場合はソースコードの公開が求められます。

多くの個人事業主にとって、「Soler」が頼れる存在となることを願っています。